2021.05.09更新
本記事はSNSでシェアをしていなかったのですが、知り合いが発掘してくれてシェア頂いた後に、クリエイティブ×テクノロジーで情報を「リッチ化」する株式会社リチカの松尾代表からこんなコメントを頂きました、ありがとうございます!更新の励みになります!
弊社もしつこいくらい「解像度」と言い続けてますが、超わかりやすく言語化されてる永久保存版的な記事、、https://t.co/PsHE0Xii4Y #スタートアップへ行こう @a_d_m_a_nより
— 松尾幸治 | RICHKA CEO (@yukiharuharu) May 8, 2021
それでは本文をどうぞ。
最近ちょっと変な感じになってきている「論破名人」ことひろゆきさんが(最近はどちらかというと「論点すり替え名人」になりつつある)、新R25のインタビュー『ひろゆきが他人を「デキるヤツ認定」「デキないヤツ認定」する瞬間』でこんなことを言っていました(ちなみにこの動画自体は勉強になるのでぜひ)。
ひろゆきが考えるデキないヤツ=適当にごまかしてくるヤツ
簡単に該当部分をまとめると、
- ひろゆきさんが考えるデキない人、とは「適当なことを言う人」である
- そういう人は、例えば「その仕事ができない」ということを伝える時でも、それっぽい理由を適当につけてごまかしてくる
- それっぽく聞こえるので、世の中的には結構優秀な評価を受けていたりする
- したがって、本人もそれが悪いと思っていないが、ある一定以上になるとそれがバレる=よしなにできなくなるので注意したほうがいい
確かに大きな組織に所属していると、よくわからないけどうまく進んでいる/進んでいない、みたいなことがそこかしこにあり、いつの間にか自分ごとではなくなってしまうことがあります。大きければ大きいほど、全てを把握することは不可能なので致し方ない点もありつつ、自分のスキル/能力としてコレが常態化すると上記の通り危険なことも。
実際僕自身も、前職時代に(しかもレイヤーがあがればあがるほど)曖昧なまま進めてしまうことが多く、現職に転職した時に「落差」を感じた部分でもあったりするので、少しこの件について考えてみたいと思います。
スタートアップで「よしなに」やることの罪
大企業は「よしなに」で溢れている
よくよく考えると、大きな企業は「よしなに」で溢れています。摩擦を引き起こすことなく、曖昧にすることでトゲのある言い回しを避けることもできるので、知らず識らずのうちに「曖昧に」する手法を愛用してしまっている方も多いのではないでしょうか。
よしなに・・・
・うまいぐあいになるように
・よろしく
・よいように
実際、曖昧さを排除していく=すなわち解像度を挙げていく作業は骨が折れます。ときには厳しく追求していく必要もありますし、役割を明確にすることで自分の仕事が増えてしまうかも知れません。あるいは、解像度をあげたことでそもそもそのプロジェクトがうまくいかない可能性が見えてきたりするかも知れません(=見たくない現実)。つまり、解像度を上げる=ストレス VS 曖昧にする=ラク、という図式。
だから、曖昧さが好まれる理由もわかりますし、僕も根が怠け者なので曖昧にしたくなる気持ちもあります。事実曖昧にしてきた仕事もたくさんあると思います。
幸いな(あるいは不幸な)ことに、大企業は人材が豊富であり、多少曖昧に仕事をしていても誰かがそれこそ「よしなに」やってくれることがあります。IT関連企業だとたいていその「よしなに」やってくれるのはエンジニアであり、それが営業とエンジニアの溝を深めてしまったりもするのですが、目に見えて問題化することは少ないかも知れません(グツグツとマグマのように煮えたぎっている事はあると思いますが)。
しかしながらそうした仕事の進め方のまま、スタートアップやベンチャー企業に転職してしまうと、手痛いダメージを負ってしまうことも・・・
スタートアップが「よしなに」やり続ける悪影響
大企業とスタートアップが違うのは、まず組織のサイズ、です。スタートアップは当然サイズが小さい(大企業と比べたらミジンコレベル)。さらに大抵の場合、やることだらけでとても忙しい。
したがって、なかなかに自分以外の人のフォローをする時間が取れるかというと難しいわけです。大企業であれば誰かが曖昧にした仕事=こぼれ落ちた仕事を誰かが拾い上げてくれることもあると思うのですが、スタートアップの場合その仕事はこぼれ落ちたまま。
スタートアップは仕事自体もまだ小さいので、こぼれ落ちた仕事がテポドン級のクリティカルヒットになってしまうこともある。ことスタートアップにおいて「曖昧にする」ことは9割方「悪」と言い切ってしまっても良いかも知れません(「曖昧さを許容する」ことの重要性も一方であったりもするので、この点は別途書きたいと思います)。
スタートアップ転職者が「曖昧癖」を修正するために必要なこと=解像度ファーストな働き方
そこで、曖昧にする癖・ごまかす癖・よしなにする癖を矯正ギブスにはめて治していく必要があるわけですが、ポイントはやはり「解像度」の高さ。
解像度にこだわってこだわって、細部まで見通すことができてこそスタートアップの仕事は推進することができる。神は細部に宿るので、細部まで解像度を高めてはじめて神様を見つけてあげる必要があるわけです。とても大切。
そこで色々と実体験などをほじくり返しながら、曖昧にする癖・ごまかす癖・よしなにする癖を矯正ギブス=仕事の解像度の高め方を整理していきたいと思います。
キーワードは、
- WILL(意思)の確立
- 健全な危機意識を持つ
- 知識と好奇心
- プライドを捨てる
それぞれ説明していきましょう!
おまえはどうしたいの?=WILLの確立
某R社の1on1では、二言目には「お前はどうしたいの?」というお決まりの質問が飛んでくると言いますが、自身の意思=WILLがなければ、解像度はなかなか上がりません。
この仕事はこのようにしていきたい、このようなスピード感でやっていかなければ!という明確な意思があれば、そのために必要な条件を詰め切ろうという欲求が高まっていきますし、その中で曖昧な事柄があれば当然クリアにしていこうと自然となっていくと思います。
逆に言えば、この「どうしたいか?」がないとスタートアップでの仕事は推進力を持ちません。常に今目の前にある仕事をどうしたいのか?どんなスピード感で仕上げたいのか?意思を持つ癖をつけると良いのでないかと思います。
健全な危機意識を持つ
WILLに加えて大切なのは、健全な危機意識を持つこと。今やスタートアップが倒産するリスクはかなり減ってきていると思いますが、大企業と比較したら当然リスクは高いわけで、このリスクを自分ごとにできるかどうか?がスタートアップでの活躍度合いを決めてくると思います。
特に上場企業などから転職してくる場合、それなりの期待をされての入社になると思うので、「自分が最後の砦」である意識、自分が曖昧にして仕事をこぼしたらだれもそれを拾ってくれないぞ!という意識を持つことは非常に重要です。
僕自身、毎日の振り返りをするようにしているのですが、その振り返りシートに「健全な危機意識」という一文は必ず目に入るようにしています。なかなか今まで自分がしくじったら会社全体が傾くぞ?という意識を持ったことはなかったので、ここはかなり意識して自分のOSに搭載しに行っています。(あくまで意識として、ですが)
知識と好奇心を併せ持つ=無知は曖昧を生む
解像度を上げるための解像度、ってものが必要。というと少し変な言い回しになるのですが、その領域における一定の知識がないとそもそもの疑問=好奇心が湧いてこないこともあります。
僕なんかでいうと、例えばジールスはチャットボットをLINEに搭載するソリューション(=チャットコマース)を提供しているのですが、僕がデジタルマーケティング業界の最前線にいたのは2006-2011年だったため、実はLINEを活用したマーケティングに対するリテラシーは入社するまで低い状態でした(LINEの登場がそもそも2011年)。
これは本当に反省だったんですが、入社前にもっとLINEについて勉強しておくべきだった。その領域における土地勘がないと、そもそもわからないことだらけ。わからないことが多すぎると、人間の脳味噌って諦めるんですよね。
英語の文章とかでも、例えば10の単語で構成されている英文があったとします。その文章の中で仮に1単語わからなくても、残り9の単語が理解できてれば文脈で推察できる。でも過半数以上の6単語が不明な単語だと、もはやその英文の内容を推察することがデキない、みたいな現象に近いと思っていて、無知は曖昧を生む、ってことに最近行き着きました。
その上で、プライドを捨てる
上記3つを満たした上で、最重要なのは「プライドを捨てること」だと思います。もっというと、わからないことをわからない、と言える素直さ。
色々と期待されているので、わからないという状態こそごまかしたい対象だったりするのですが、そこを曖昧にすると、その先はバッドエンドしか待っていません。曖昧に曖昧を重ね、最終的にはごまかしが効かないことに・・・みたいなことには今の所出会ったことはありませんが、振り返ってみると前職でそういう人は・・・いたかも知れません。
せっかく人生を掛けてスタートアップに来る決断をしてくれたのであれば、そんなバッドエンドは双方臨んでいないことだと思うので、
- WILL(意思)の確立
- 健全な危機意識を持つ
- 知識と好奇心
- プライドを捨てる
ぜひ上記を意識して、解像度の高い毎日を過ごしてもらいたい(僕自身もそうしていきたい)と思っています!
それでは、本日もありがとうございました。明日も良いスタートアップライフを!
