約2ヶ月ほど前にこのような記事を公開しました。多くの方に読んで頂き、たくさんの賛同の声を頂戴しました。やっぱり文章に書き起こすとこうした反応が得られるので、とても楽しいですね。思考が刺激されます。
詳細は上記の記事を見て頂ければと思いますが、要約するとこんなことを書きました。
- 転職直後は、勢い余って「自分がこの会社の救世主になるんだ!」と思いがちだが、救世主になる前にその国の民になるべし。
- そのために必要なのは、肯定力。とにかく会社や社長の良いところを探す。
- 他者(会社や社長)を肯定することによって生まれる自己肯定こそ大事。肯定の雪だるまを転がしてどんどん肯定の力を大きくしていこう。
2ヶ月たった今でもこの思いはほぼ変わりませんし、活躍してくれているシニア層を見ていると、転職先の会社に対する肯定力が高いと改めて感じるので、特段大きな修正はありません。
一部例外に当たる人はもちろんいると思いますし(昔の日産に対するカルロス・ゴーン氏のような改革者など?)、100%すべてのケースに合致するとも思いませんが、みなさんが思い悩んで惚れ込んでジャッジした企業であるのであれば、多くの場合に当てはまるのではないかと思っています。
転職直後は否定はしちゃだめなの?結局どうなの?
しかしながら、先日会社の若手エースメンバーと話していたらこんなことを言われました。
(先日の大介さんのブログを読んで)あれも確かにな、と思うところはあったんですけど、もっとゴリゴリ意見を言っていってほしいな、というか変えていってほしいな、と思う部分もあるんですよね。
ハッとしたのは、上記のエントリーの書き方だけだと「否定をしちゃいけない」「意見しちゃいけない」と受け取られる可能性があるということ。僕の意図としては、救世主になるぞ!と息巻いて「勝手に改革者」になってしまい、組織からの信用・信頼を得る前にその組織の過去を否定してしまって、結果的に改革者や救世主ではなくただの「敵」や「ミスマッチ人材」になってしまうリスクを回避しようぜ、というところをお伝えしたかったのです。しかしながら、なかなか伝わりづらい部分もあったのだと思います。
実のところ、経営や現場のシーンでは、僕もかなりの意見を出していますし、場合によっては否定することもあります。
否定やノー、はもちろんして良い。しかしながら「否定の作法」のようなものがあると思うので、この記事ではそちらをブレイクダウンしていきたいと思います。
転職直後の「否定の作法」
僕の考える転職直後の否定の作法は以下の3つです。
- ビジョンドリブンであること(自分ドリブンでないこと)
- 自分の得意領域であること
- 結果として「肯定9割・否定1割」の比率になっていること
それぞれ説明していきます。
ビジョンドリブンであること
何より大切なのがこの視点。
- (その否定をすることで)会社がビジョンに向かって(そうでないときと比較して)進むことができるのか?
この問がクリティカルだと思ってます。先日のエントリーでも書いた通り、スタートアップはいろんなことが未成熟。ついつい否定したくなることも多くあるものです。その時は必ず肯定から入りつつ、それでもなおという場合はこの質問と照らし合わせる。答えがYESであれば、ぜひ建設的な否定をしてください。
一方でよろしくないのは自分ドリブンな感情的な否定をすることです。明確な代替案がなかったり、理由がないものもコレに該当すると思いますが、この手の否定は自分がスッキリするだけで、会社を成長させることはありません。
- (その否定をすることで)会社がビジョンに向かって(そうでないときと比較して)進むことができるのか?
このQをぜひ覚えておいてほしいなと思ってます。
自分の得意領域であること
もう一つ重要なポイントは、その否定が自分の得意領域であること、だと思います。専門性がある領域は、効果的な代替案を打ち込みやすいと思いますし、受け入れる側も「学び」としてポジティブに受け入れられる可能性が高いと思っています。
例えば、つい先日弊社にジョインしてくれた渡邉さん(社内では「nabe-san」という愛称で呼ばれています)は、金融領域におけるプロフェッショナル。ジールスの誰よりもその領域に精通されたキープレイヤーです。僕もめちゃくちゃ学ばせてもらってます。
彼自身を観察していても、まずはジールスという可能性を信じてくれ、我々の今までの意思決定を肯定してくれた上で、彼の専門領域に置いては鋭い意見を展開してくれる。
肯定の土壌を耕した上で専門領域で意見という名の種を植えるは、それこそ救世主ばりの価値があると感じています。
結果として「肯定9割・否定1割」の比率になっていること
上記2つを心がけていると、結果的に肯定と否定の割合は、9:1程度になってくると思いますが、これが転職直後の適切な割合なんではないかと思っています。9つ肯定したら、1つ意見する。
シニア人材は、若いスタートアップにとっては「社会の先輩」に当たるので、その先輩に肯定されるだけで嬉しいもの、自信につながるものです。したがってまずはぜひ肯定をたくさんしていって、組織とのラポールを作り上げるとともに、組織に自信をもたらしてあげてください。その上でクリティカルな専門領域からの意見を展開する。
これを意識するだけで、組織は大きくレベルアップすると思っていますし、僕自身この半年間はこれを意識してやってきました。なぜ僕がジールスに転職をしたのか?どんな可能性があると思っているのか?社長の器をどう感じているのか?などなど、様々なシーンで言語化し、発信してきました。
実際、やってみて思うのは、肯定のサイクルは自分自身もリズムに乗せてくれるということ。そしてリズムに乗った上での意見は的を(あまり)外さない、ということ。否定は何かとブレーキになりますが、肯定は円滑油。ポジティブな慣性の法則を働かせるためにも、ぜひこのスタンスは忘れないでいただきたいなと思います。
まとめ
- ビジョンドリブンであること(自分ドリブンでないこと)
- 自分の得意領域であること
- 結果として「肯定9割・否定1割」の比率になっていること
以上、前回のnoteに少しアップデートした考えを整理してお伝えしました。
もちろん「それは違う!」「甘い考えだ!」などなど様々な意見もあると思いますので、ぜひTwitterやコメント欄で議論させてください。
それでは、本日もありがとうございました。明日も良いスタートアップライフを!
